香りの知識

においの正体を化学的に理解|分子量が350以下の揮発性有機化合物

【なるほど!】においの正体を化学的に理解する

kaori

香料メーカーで研究職として働いていた経験から、香りや臭いについて情報発信しています|アロマテラピー検定1級|わたしも実際に使っている香水サブスク(COLORIA、SCENTPICKなど)の紹介|みなさんとワクワクしながら香りを楽しめる「香りハピネス」なライフを目指せたらウレシイです♪

悩む人

においって何でできてるの?目に見えないから正体がわからないなぁ・・・

悩む人

化学と関係ありそうだけど、化学的にはどういう定義がされているんだろう?

そんな疑問に香りのプロkaoriがお答えします。

この記事を書いた人

kaoriのプロフィール画像kaori(@kaori_happines

においは科学(化学)です!
この記事はこんな人におすすめ
  • においの正体を知りたい人
  • においについて化学的に理解したい人
  • 香りのプロの話を聞きたい人

この記事は、においの正体について化学的視点でわかりやすく解説しています。

においと化学の関係はとても深いです。

しかし、学校では”におい”について学ぶ機会はほとんどありませんよね?

”におい”とは化学的には何なのでしょうか?

結論から言うと、においとは”分子量が350以下の揮発性のある有機化合物”です。

結論

  • 嗅覚は五感の一つであり、におい物質が鼻に働きかける
  • におい分子は分子量350以下の揮発性のある有機化合物であり、”におい”はその集合体
  • におい分子の構成元素はたった5つ

この記事を読むことで、”におい”を化学的に理解でき、においの世界への入り口に一歩踏み出すことができます。

ぜひ最後までお読みください。

また、「香りとは?|心地よい”におい”のこと!香りの表現の種類も学ぼう」を読んでいない方は、先に読むと理解しやすいですよ。

あわせて読みたい
【簡単にわかる!】におい・香りとは?
香りとは心地よい”におい”のこと|香りの表現の種類も紹介

においの正体は?分子量350以下の揮発性化合物

においの正体は、分子量350以下の揮発性化合物(におい分子)のことをいいます。

分子量:分子式(H2O、CO2など)に含まれている元素の原子量の合計

揮発性:液体が気化すること(対義語:不揮発性)

それでは、揮発性物質はすべて”におい"がするのでしょうか?

実はそうではありません。

鼻の奥(鼻腔)には嗅細胞という”におい”を感知する細胞がたくさんあります。

におい分子が嗅細胞のポケットに入り込み、「こんな”におい”が来たよ!」という電気信号が脳に送られた場合のみ、”におい”を感じることができます。

たとえば、わたしたち人間は二酸化炭素(CO2)を”におい”として感じません。

なぜなら、CO2を検知するにおい分子受容体が無いからです。

kaori

プレーンの炭酸水を飲んで”におい”を感じる人はいませんよね?

一方、蚊はCO2を検知するにおい分子受容体を持っているので、蚊にとってCO2は”におい”がします。

CO2の発生量が多い人ほど、蚊の餌食になる・・・という話を聞いたことがあるかもしれませんが、このような理由があるからです。

つづいて、におい分子について解説します。

におい分子の主な構成元素はたった5つ?!

”におい分子”の主な構成元素は次のとおりです。

  • 水素(H)
  • 炭素(C)
  • 窒素(N)
  • 酸素(O)
  • 硫黄(S)

118種類ある元素のうち、たった5つの元素が天然に存在する”におい分子”の構成元素なんです。

炭素(C)が有機化合物をつくる能力があるので、ほとんどの”におい分子”は有機化合物でできています。

分子が重くなると揮発性が低くなることも知られており、炭素数は20前後、分子量は350がにおいを持つ上限とされています。(※2)

kaori

揮発しなければ、鼻に”におい分子”が届くことはありません。

そのため、分子が軽いことは大事なポイントです。

においに関係する感覚は”嗅覚”

においをさらに理解するために、”五感”について説明させてください。

五感とは、外の世界の情報を知るために利用しているセンサーのようなものです。

視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚」を学校で習った方も多いと思います。

これが、五感です。

視覚・聴覚のような物理的感覚とは異なり、味覚・嗅覚のような化学信号を受容する感覚を化学感覚(chemical senses)と総称します。

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化学物質が舌👅や鼻腔👃に到達して初めて”感じる”ので”化学感覚”と言います。

においの元である”におい分子”は、化学的にあなたの嗅覚に働きかけます。

五感は危険を察知するためにある

五感は動物が外界の情報や生命をおびやかす危険を察知し、回避するためにあると考えられています。

視覚による危険の回避について、おもしろい実験があるので紹介します。

白い背景に食パンの形をかたどり、真ん中の色を変化させて被験者の脳の反応を見るという実験(※1)です。

赤・黄色・茶色ではそれぞれ"ジャム"・"バター"・"チョコレート"などを連想し、脳に特に変化はありません。

しかし、色を青緑にするとカビを連想し、途端に脳のある部位が活性化したそうです(認識速度は数十ミリ秒!)。

五感は「危険から回避するためにある」ことが、よくわかりますね。

kaori

カビの生えたパンを食べたら、おなかを壊してしまいますもんね・・・😭


もちろん、嗅覚も危険を回避するために役に立っていますよ!

"におい"で食べ物が腐っていないか判別することができますよね?

万が一、腐ったものを口に入れてしまったら・・・

食中毒のリスクがあり場合によっては生命の危険があります。

”におい”の物理的・化学的な表現方法

自分が感じた”におい”を他人に伝えるのは、とても難しいですよね。

伝え方は、次のような方法があります。

  • 皆が知っている具体的なモノに例える
  • 抽象的な表現を使う
  • 物理的・化学的な表現を使う
kaori

香料の研究者の場合、物理的・化学的表現をすることもあります。

企業に勤めていると原料そのものを嗅ぐことができ、また構造式も理解しているので化学的な表現を使いやすいですね。

香料については、「【よくわかる!】香料とは?天然香料と合成香料の違い」で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。

あわせて読みたい
【よくわかる!】香料とは?天然香料と合成香料の違い
天然香料と合成香料の違いを香りのプロがわかりやすく解説!

”におい”の物理的な表現例

”におい”の物理的な表現の例は次のとおり。

  • 重い・軽い
  • 拡散性のある
  • 濃い・薄い

物理的な表現も多くありますが、一般の人にもイメージしやすいと思います。

化学的な表現例

においの化学的な表現の例は次のとおり。

  • 酸臭
  • 硫黄(S)臭
  • アルデヒド様

少し聞きなれない言葉があるかもしれません。

酸臭は酢や納豆などでイメージしやすいと思います(酸臭にも色々と種類がありますが、ここでは詳しく書きません)。

硫黄臭は、温泉から漂う”におい”をイメージするかもしれませんね。

kaori

硫黄臭は他にもたくさんありますが、サツマイモの特徴香であるメチオナールという化合物が特に有名です。

酸臭と硫黄臭はなんとなくわかっても、アルデヒド様はどんな”におい”か想像しにくいかもしれません。

アルデヒド:-CHOという官能基を持つ有機化合物の総称。

例えば次のような化合物がアルデヒドになります。

シンナムアルデヒド(Cynnamaldehyde)
シンナムアルデヒド(Cynnamaldehyde)

シンナムアルデヒド(Cynnamaldehyde)は、シナモンの香りがすることで有名です。

シナモン
シナモン

もし、香気分析をしていて「シンナムアルデヒドのような匂いがするな~」と思ったら、”シンナムアルデヒド様”というように回答することもあります。

kaori

”様”とは”~のような”という意味です。英語では"-like"で表すことが多いです。
シンナムアルデヒド様=cinnamaldehyde-like

もちろん、アルデヒドも数多くの種類があり、それぞれ異なる”におい”がします。

例えば(E)-2-ヘキセナール( (E)-2-hexenal )というアルデヒドは、葉をちぎった時に感じる”グリーン様”の香りがします。

(E)-2-ヘキセナール((E)-2-hexenal)
(E)-2-ヘキセナール((E)-2-hexenal)

シンナムアルデヒドと(E)-2-ヘキサナールではだいぶ”におい”の質が異なりますよね?

構造式を見てわかるとおり、骨格が違うものはやはり違う”におい”を感じることが多いです。

しかし、似た構造式を持つ化合物は、”におい”の質も似る傾向にあります。

【これでわかる!】におい(香り)と化学構造式の関係」では、”におい”と構造式の関係性についてさらに詳しく解説しています。

化学をある程度理解している人向けですが、一般の人にもわかりやすく解説したつもりです。

ぜひ参考にしてください。

参考記事
【これでわかる】におい(香り)と化学構造式の関係について
におい(香り)と化学構造式の関係をわかりやすく解説

まとめ

この記事のまとめです。

  • 嗅覚は五感の一つであり、におい物質が鼻に働きかける
  • におい分子は、分子量が350以下の揮発性のある有機化合物である
  • におい分子の構成元素はたった5つ
  • 香料の研究者は化学的な表現もよく使う
kaori

あなたが少しでも香りに興味を持ってくれたら嬉しいです。

参考文献

  1. 分析化学〈2〉分光分析 (基礎化学コース) 北森武彦、宮村一夫 著(丸善)
  2. 香料の科学 (KS化学専門書) 長谷川香料 著(講談社)
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